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仙台牛のプロフェッショナルたちVol.3~栗原市 窪田さん親子~

仙台牛のプロフェッショナルたちタイトル

栗原市 窪田さん親子
仙台牛は全国で唯一、肉質等級が最高の「5」に格付けされないと呼称が許されないブランド牛肉です。
厳格な審査基準のもと、以下の 4 つの基準を全て満たさないと、仙台牛と呼ばれません。

その4つとは、

1.【品種】黒毛和種であり、
2.【生産技術】仙台牛生産肥育体系に基づいて、個体にあった適正な管理が行われ、
3.【地理的表示】宮城県で肥育された
4.【格付け】日本食肉格付協会枝肉取引規格が「A-5」及び「B-5」である牛肉です。

その厳しい審査基準の中で、2014 年 11 月 10 日、仙台市中央卸売市場・食肉市場において、農林水産祭参加の第54回仙台牛枝肉共進会が開催されました。
その共進会の第 2 部黒毛和種雌(めす)の部で、見事チャンピオン牛を受賞した窪田さん親子に話を聞く機会を頂きましたので、訪問しました。

かなり深くまでインタビューしております。

今日はありがとうございます。肉のいとうの伊藤です。今回は栗原にある窪田さんのところで見学させて、勉強させていただきたくまいりました。窪田さん、本日は宜しくお願いいたします。

牛と窪田さん

宜しくお願いします。

Q2.まずはここに来た感想なのですが、牛が非常に多い感じを受けたのですが、ここで育てている牛は全部で何頭ぐらいになるのでしょうか?

今は 140 頭になります。

Q3.140 頭というのは、このあたりの地域で育てている生産者と比べて多いのでしょうか、少ないのでしょうか?

地域的には、多いほうだと思います。

Q4.窪田さんは、肥育農家として牛を育ててから、だいたい何年ぐらいになりますか?

窪田さん親子

牛飼いは6年から7年ぐらいになります。

Q5.それは、お父さんの代から含めての年数になりますか?

私が始めて6、7年ほどになります。その前からは父もずっとやってましたし、その上のおじいさんの代もやっていたみたいですので、かなり前からやっていますね。

Q6.そうすると50年以上前からやっていますかね?

ええ、そうだと思いますね。

牛Q7.非常に牛飼いではプロフェッショナルな家系だと思いますが、実は今回窪田さんは仙台牛の2014年11月7日に行われました宮城県の農林水産大臣祭の雌(メス)の部のチャンピオン牛を育てられた方になります。
チャンピオン牛というのは、最優秀牛の上のものになりますので、非常に仙台牛のA5ランクのみの牛肉の中でも、とてつもなくいい牛を育てたということになります。そこで、聞きたいのですが、チャンピオン牛を育てるにあたって、何かこだわりですとか普通の牛と比べて違いというのはあるものなのでしょうか?

チャンピオン牛に関しては、血統が完璧だったと思います。

Q8.血統が完璧?どういった血統が完璧だったのでしょうか?教えていただける範囲で教えていただけますか?

今2代目が安福久です。安福久という血統が入ったものが、全国でチャンピオンになっていますね。その組み合わせが大切です。たまたま、その血統が入ったものを購入できて、うまく育ってくれました。

Q9.育てるにあたって、今血統といわれましたが、他の牛と比べてえさとかの違いは特にありますか?

えさはどの牛も一律ですね。

Q10.どのようなえさを与えているのでしょうか?

牛

えさですか。水といなわらがまず基本です。

Q11.水といなわらの他には配合飼料などを使っていますか?

今、宮城県産の米(栗原産の米)を発酵させたえさを食べさせています。

Q12.それは、他では扱っていないようなえさなのでしょうか?

今からやろうと、国あげてやろうとしている段階ですが、その先駆けだと思われます。

Q13.それは、栗原の方で開発されたのでしょうか?

牛

これは、山形の方で、やっているところがあると聞いて、そちらの業者さんから入れました。

Q14.ここで育てている牛は、全て黒毛和牛ですが、ここで育てた牛のだいたい何割ぐらいが、出荷されるときに最高等級の A5 になるのでしょうか?

私がここで就農して、6,7 年になりますが、TOTAL で平均して A5 比率は 55%ほどになります。

Q15.55%ですか?全国の食肉格付協会で公表している黒毛和種の全国のA5等級比率というのがありまして、それは 19.8%となっています。そこから比べると、55%の A5 等級が生産されているというのは、大変すごいことだと思うのですが、それは先ほど話であがりました血統、環境、エサというのが影響しているのでしょうか?

どうなんでしょうね...(笑)

Q16.実際に出荷されるときに、牛を見てこの牛は A5 だ、A4 だというのは出荷前にはわかったりするものなのでしょうか?

JAくりっこの皆さんと窪田さん

ある程度はわかったりします。自分の育ている牛のいい形というものがあります。

Q17.どういった形がいい形なのでしょうか?

やっぱり肩と腰に肉がのって、おしりが丸くなります。おしりが丸くなった牛は、ももにまで細かくサシが入ります。

Q18.そうすると、今言われたような形の牛は、A5 になりそうだなというような想像がつくのでしょうか?

そうですね(笑)

Q19.実際に出荷されて枝肉になって切った段階で、やっぱり A5 だった、というような喜びというのはあるのでしょうか?

牛と窪田さん

はい、ありますね。ほんとに、共進会なんかだとまず見た目で、自分の育てた牛の見た目で出しますから、そこで賞をとれるかとれないか、それも自分の目利きで、頭数が数多くいる中で出す一頭になりますから、嬉しいですね。

Q20.窪田さんは、肥育農家でやられているわけですが、子牛で何キロぐらいの子牛を買ってきて、出荷時にはだいたい何キロぐらいで出荷するのでしょうか?

子牛は小さいのを買っています。230 キロぐらいの小さいものを買っています。

Q21.何ヶ月ぐらい経った子牛なのでしょうか?

10 ヶ月、11 ヶ月ぐらい経った子牛になります。

Q22.そこから 20 ヶ月ぐらい育てて、出荷されるのでしょうか?

牛舎

はい、そうです。

Q23.出荷時には、何キロぐらいになっているのでしょうか?

出荷時は、600 キロぐらいですね。

Q24.なるほど。チャンピオン牛のような、いい牛だと思われる牛も同じように 600 キロぐらいですか?それとも、650 キロとか 700 キロとか重くなるのでしょうか?

やはりいい牛は、枝重も多いですね。

Q25.重量も多くなるわけですね。

そうです、重くなります。

Q26.それは、同じような育て方をしたにも関わらず、牛の血統などによってサイズが変わってくるのですか?

牛と窪田さん

血統と、やはりよく食べるので牛が大きくなります。そうするとサシもよく入ります。

Q27.育てている上で、何か工夫している点とかがもしあれば教えて下さい。窪田さんが育てている上で一番重要視していることはありますか?

うんちの状態を気にしています。毎日、やわらかかったり、かたすぎたりとかを見て、牛の体調が分かります。赤ちゃんとかも、しゃべらないじゃないですか。牛もしゃべらないじゃないですか。ただ、便の状態を見れば、なんとなく分かります。

Q28.なるほど。それはある程度経験を積んで、うんちの状態をみてわかるようになるのですね?

そうですね。

Q29.これまで 6 年、7 年やっていて、嬉しかったことはありますか?育てている醍醐味や喜びなどはありますか?それはどういったところになりますか?

牛と窪田さん

やっぱり、自分で買ってきて、自分で育てていますから、それが最高位の 5 等級になったときは、嬉しいですね。

Q30.A5 等級になったときと A4 等級になったときとでは、セリの値段も変わってきますか?

セリの値段も変わってきますし、仙台牛というのは 5 等級のブランド牛ですから、そこを目指して育てています。最高の格付けで勝負しているのが仙台牛です。

Q31.最高の愛情を注いで、出して A5 になったときが嬉しいということですね。

はい、そうですね。

Q32.実際に出荷されるときには、仙台の卸売市場と東京の卸売市場があると思いますが、窪田さんの場合は、どちらが多いですか?

東京の方が多いですね。

Q33.こちらで育てている牛は、雌(メス)牛が多いのでしょうか?

牛

はい。ほぼ、雌(メス)牛になります。

Q34.雌牛というのは、消費者目線でたった時に、食べたときに融点が低いので脂が溶けて口当たりが良くなり非常に食べやすい、サシののりがよいとかあるようですが、雌牛を育てている理由というのはあるのでしょうか?

やはり雌(メス)牛の方が、自分で食べてみて美味しかったからです(笑)

Q35.雌(メス)牛の方が去勢牛と比べて育てやすいというのはあるのでしょうか?

私は育てにくいですね。

Q36.育てにくい雌(メス)牛でも、美味しいものを育てて届けたいということでしょうか?

去勢牛と雌牛とでは、やはり食べればすぐに味の差があるのかなと思います。

Q37.それでは最後になりますが、昨年 2014 年 11 月に行われた農林水産祭主催の仙台牛枝肉共進会の大会で、仙台牛の雌(メス)の部でチャンピン牛を受賞されました生産者窪田さんの方から全国の皆様へメッセージがあればお願いいたします。

窪田さん

自分は一日中、牛小屋にいます。何にもなくても牛舎にいて、一頭一頭の状態を見て、元気かどうかというのを考えて毎日朝・晩とえさをやって、できればよそよりも美味しい肉を作りたい。いいものを作りたい。仙台牛を広めたい。あとはやっぱり、牛飼いで家族を養っていきたい。と思いながら、やった結果が、チャンピオン賞をとれたのではないかと思います。皆さんに、もっと食べてもらえれば、本当にみんなが潤うのではないかなと、みんなが幸せになれるのではないかなと思います。

Q38.本日は、栗原の窪田さんにインタビューをさせていただきました。本日は、ありがとうございました。

ありがとうございました。

仙台牛

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